48.6%の飲食店が「コロナ前より客数減」も、年末年始の繁忙期に期待高まる
本調査について
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:360
調査期間:2023年11月17日~2023年11月29日
調査方法:インターネット調査
■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち68.9%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は52.5%(首都圏の飲食店の割合は70.0%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
調査結果について
飲食店の45.6%が「ディナー」、37.5%が「深夜帯」での客数減を実感
2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行してから、半年が経ちました。コロナ禍で大きく打撃を受けた飲食業界も徐々に回復を見せていますが、コロナ禍を経たことで、消費者のライフスタイルは変化しつつあります。こうしたなか、飲食店の来客状況と集客施策について調査するため、アンケートを実施しました。
はじめに、コロナ以前(~2019年3月)とコロナ収束後(2023年5月~)を比較し、来客数に変化があったか尋ねたところ、最も多かったのが「コロナ以前より減った」との回答で48.6%。いまだ半数近くの店舗がコロナ前の水準まで回復していないことがわかります。一方で、「コロナ以前より増えた(25.8%)」、「コロナ以前と変わらない(16.9%)」との回答も見られ、4割の店舗ではコロナ以前と同等、またはそれ以上の客足があるようです。
続いて、コロナ以前とコロナ収束後で、お客様の利用時間帯に変化があったか答えてもらいました。全体を見ると、日中は、お客様の利用が「増えた」または「変わらない」と回答している店舗が多いのに対し、夜間は「減った」と回答する店舗が多くなっています。「ディナー」では45.6%が、「深夜帯」では37.5%が、お客様の利用が「減った」と回答しており、夜間の客足が遠のいている店舗が多いことがうかがえます。
さらに、コロナ以前とコロナ収束後における、利用客層の変化について尋ねた質問では、「特に変わらない(33.1%)」との回答を除くと、「1人客が増えた」との回答が28.1%で最多となりました。次いで、「外国人観光客が増えた(18.1%)」、「カップル客が増えた(15.0%)」との回答が続きます。この背景には、コロナ禍を経て、少人数での食事が定着したことや、インバウンド需要が回復していることなどが、影響していると考えられます。
56.9%の飲食店が、リピーターより新規客の獲得を重視
また、自店舗の集客課題として、「新規のお客様の獲得」と「既存のお客様のリピート来店」、どちらが重要だと考えているか選んでもらいました。すると、56.9%が「新規のお客様の獲得」、37.2%が「既存のお客様のリピート来店」と回答し、新規客の獲得の方が課題と考えている店舗がやや多い結果となりました。
そこで、回答を選択した理由を答えてもらったところ、各店から集客におけるさまざまな課題が聞こえてきました。
【「新規のお客様の獲得」と回答した理由】
現状リピート客が多く、新規客が少ないため
・リピート率は現状かなり高いので、さらなる集客のために新規顧客の取り込みを強化したい(大阪府/カフェ/1店舗)
・大衆食堂であり、商圏が狭く、リピート客が多い。その一方で、一見客、新規客は多くない(東京都/和食/1店舗)
・常連のお客様が多く、新規のお客様は店舗の場所がわかりにくいのでなかなか増えない(京都府/焼肉/2店舗)
将来の客数減少を懸念しているため
・常に新規顧客を取っておかないと先細りしてしまうため(奈良県/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
・人口減少が著ししい地域で、従来のお客様の高齢化を感じる。以前多く感じていた子供連れのお客様の実数が明らかに減っている(福井県/洋食/1店舗)
・既存客だけだと、顧客が消滅していくだけなので(神奈川県/ラーメン/1店舗)
ライフスタイルの変化で、常連客が減ったため
・常連様のほとんどがテレワークとなりご来店頂けなくなっているため(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・生活スタイルが変わり、既存のお客様の来店頻度が減ってしまっているため(東京都/フランス料理/1店舗)
・コロナ後の働き方の変化(テレワーク等)やお客様の転職、会社移転等の理由から常連客が減少してしまっているため(東京都/その他/1店舗)
【「既存のお客様のリピート来店」と回答した理由】
安定した売上確保のため
・安定した売上を維持するため(東京都/その他/1店舗)
・リピーターが多いと売上の見込みが立ちやすいから(東京都/フランス料理/1店舗)
・リピートが増えれば安定した売上が見込めるので(東京都/カフェ/3~5店舗)
既存客のリピート率の低下が気になるため
・既存のお客様はかなりいるのですが、頻度が少ないので(大阪府/アジア料理/2店舗)
・満足度の高いサービスを提供していますが、リピート率が低い(東京都/和食/1店舗)
・既存顧客の来店頻度が低下していると感じるから(愛知県/和食/1店舗)
土地柄、リピーターの獲得が重要だと思うから
・特に観光や商店街などないエリアなので、周辺のお客様に何度も利用していただくのが一番いいから(愛知県/カフェ/1店舗)
・駅前商業地域の店舗ではないので、新規も必要ではあるが、どちらかと言えば既存のリピート来店の方が重要(東京都/和食/2店舗)
・ローカルエリアなので、リピートしてもらって愛用してもらえる店作りが戦略として重要だから(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
飲食店の90.3%が「SNS」で集客。うち、36.1%が「満足」
続いて、「集客施策」と聞いて効果がありそうと思うものを最大3つまで選んでもらったところ、64.7%が「SNS(X、Instagramなど)への投稿」と回答し、最多に。続く、「看板・店舗の内外装の改善(35.6%)」、「MEO対策(Googleマップに掲載されている情報の整備)(31.9%)」、「グルメサイト/口コミサイト(食べログ、楽天ぐるなびなど)への掲載(30.6%)」も3割を超えています。
さらに、自店舗で実施している集客施策について、施策に対する満足度と合わせて選んでもらいました。すると、最も実施率の高かったものは「SNSへの投稿(90.3%)」でした。満足度も36.1%(とても満足している=6.1%、満足している=30.0%)と全体で2番目に高い値となっています。この満足度を上回るのが、「看板・店舗の内外装の改善」で、「満足している」との回答が43.1%(とても満足している=7.5%、満足している=35.6%)にも及んでいます。このほか、「MEO対策」や「自店舗HPの開設」、「グルメサイト/口コミサイトへの掲載」も、3割前後の人が満足しています。
また、集客施策を実施している方に、1店舗あたりにかけている集客費用(月額)を答えてもらいました。すると、最も多かったのは「費用をかけていない」との回答で33.6%。次いで、「1万円~3万円未満(23.1%)」、「1万円未満(16.7%)」と続いており、3万円未満に抑えている店舗が7割を超えています。
年末年始の繁忙期に向け、人材の確保やスキルアップを検討
さらに、現在、繁忙期に向けてどのような準備を行っているか尋ねたところ、「スタッフの採用(アルバイト)」との回答が37.8%で最多となりました。次いで、「SNS投稿(35.3%)」、「宴会メニュー・宴会プランの用意(24.2%)」、「スタッフの育成強化(20.0%)」、「スタッフの採用(正社員)(19.4%)」と続いており、繁忙期に向けて、人材の確保や強化、集客などに力を入れている様子がうかがえます。
最後に、年末年始の繁忙期に向けて、今最も考えていること(懸念、期待、具体的な計画など)を教えてもらったところ、売上回復に期待を寄せる声が上がる一方、不安や懸念を訴える声も目立ちました。
繁忙期の売上に期待
・今年は近隣の会社が大人数での宴会規制を全面的に解除し、貸切規模での忘年会や新年会のご予約がコロナ前のようにたくさん入ればいいなと期待しております(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/2店舗)
・人員も揃っているので、過去最高売上を目指している(東京都/和食/3~5店舗)
人材の確保と教育
・繁忙期の人員不足。年末に向けて人員を充実させたいが、応募が少なく苦戦しています(青森県/ラーメン/1店舗)
・圧倒的な人員不足のため、ワンオペでも回せるシステムの構築。あわせて、タイミーなどを使いスポットでの人員補充(長野県/中華/1店舗)
・スタッフが入れ替わっている時期で忙しい時の対応が間に合うか心配(京都府/和食/6~10店舗)
集客ができるか不安
・企業の接待が減っているので、期待はしているけど不安の方が多い(愛知県/和食/1店舗)
・この時期になっても忘年会などの集まりの予約が一件もないので売上が見込めない(東京都/イタリア料理/1店舗)
・夜のバー形態は集客が激減している。コロナ過以降も生活スタイルの変化、定着が大きく影響しているので、年末年始の期待はできない(神奈川県/バー/1店舗)
その他
・特に団体客の当日・前日キャンセルが例年少なからず発生している。また、コース予約にもかかわらずノーショウが発生することもあることへの不安(東京都/和食/1店舗)
・売上高が高くなる要因が少なく、また原価も上がっているため、利益確保できるか不安(東京都/その他/2店舗)
・年末に来た団体客を1月・2月に再来店してもらえるサービスを考えている(大阪府/鉄板焼き・お好み焼/1店舗)
■調査結果の引用時のお願い
本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
・クレジットに、「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)へのリンク付与をお願いいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
株式会社シンクロ・フード 広報:今西 大木
Mail:public-relations@synchro-food.co.jp
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