物価高の一年を乗り越えて。飲食店経営者たちが振り返る2023年のリアルと2024年の目標
飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/ )を運営する株式会社シンクロ・フード(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤代真一、東証プライム市場:3963)は、飲食店ドットコム会員を対象に、2023年の飲食店経営の振り返りと2024年の目標についてアンケート調査を実施いたしました。
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:361
調査期間:2023年12月11日~2023年12月25日
調査方法:インターネット調査
■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち67.3%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は51%(首都圏の飲食店の割合は67.6%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
2023年は、新型コロナウイルスが5類に移行したことで、街中に活気が戻ってきた一方、インボイス制度の開始や原材料の高騰などにより、飲食店にとっては引き続き苦労が多い1年となりました。そこで今回は、2023年の飲食店経営状況と2024年の目標について調査するため、アンケートを実施しました。
まず、2023年11月の売上について2022年の同時期と比べてもらったところ、52.8%が「前年同月(2022年11月)より増えた」と回答。対して、21.1%が「前年同月と変わらない」、25.9%が「前年同月より減った」と回答しています。
さらに、2023年の年間総売上を2022年と比べてもらったところ、64.4%が「2022年の総売上より増えた」と回答。「30%以上増えた」との回答も29.4%見られ、全体的に回復傾向にあるようです。一方で、16.6%が「2022年の総売上と変わらない」、19.1%が「2022年の総売上より減った」と回答しており、引き続き厳しい状況にある店舗も一定数見られました。
コロナ禍は明けたが、原価率調整や売上減少に苦労
2023年で特に印象的だったトピックスについて尋ねたところ、8割近くの店舗が「原価の高騰(78.9%)」と回答。2023年は、食材費や光熱費などあらゆる物やエネルギーの値上げが相次いだ年ということもあり、多くの店舗が印象に残っているようです。このほか、10月から始まった「インボイス制度の開始(38.8%)」や、脱コロナによる「来店客数の回復(34.3%)」を上げる声も目立ちました。
続いて、2023年のお客の動向について、どのような変化があったか答えてもらいました。すると、最も多かったのは「客単価が上がった」との回答で40.4%。原価高騰による価格転嫁の影響も考えられますが、コロナ明けで消費が活発になったことも要因と思われます。
また、コロナ明けの飲食店経営で最も苦労したことについて尋ねたところ、58.4%が「円安、原材料費の高騰などを背景とした原価率の調整」と回答。記録的な食材の価格高騰などを受け、原価率の調整を余儀なくされた店舗が多いことが読み取れます。次いで「売上の減少(46.5%)」、「新たな人材の確保(34.9%)」、「従業員の雇用維持やシフト要請(31.3%)」との回答が続いており、コロナ禍以前から飲食業界で慢性的に続いていた、人手不足の問題が再び浮き彫りになっている様子がわかります。
売上が回復、順調に経営できた
・順調にコロナ前の状況に戻っている事に一安心(東京都/カフェ/1店舗)
・オープンしてから6年ですが、1番忙しかったです。近場の職場の人の利用は少なくなりましたが、ふらりと立寄るお客様が増えました。円安で物価高なのにお金を使ってくれます(東京都/カフェ/1店舗)
・昨年度(2022年度)対比がアテにならないぐらい爆発的に増えている。昨年度から約35%も売上があがり、来店客も止まらない(東京都/アジア料理/2店舗)
インバウンド需要の復活を実感した
・コロナが明けて、外国人のお客様が増え、売上も回復した(東京都/和食/3~5店舗) ・インバウンドの回復が予想以上でした(東京都/イタリア料理/51~100店舗)
・インバウンドの復活がありがたかった一年(東京都/バー/1店舗)
集客や売上の確保に苦労した
・コロナが明け、客数が戻るかと予測したが、思うよう戻らなく非常に厳しい運営となっている(千葉県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・顧客来店数回復にまだまだ時間がかかりそうで苦労した1年でした(東京都/バー/1店舗)
・コロナ助成金も終わり、売上確保が大変厳しい一年でした(東京都/フランス料理/1店舗)
食材費や人件費などコストの増加に悩まされた
・食材費の高騰により、使いたい食材が思うように発注出来ない。価格が上昇し過ぎてお客様に販売出来ない商品になってしまうため、使用しなくなった食材があります(東京都/フランス料理/1店舗)
・客数は回復したが、食材費などの原料費がとにかく上がっているので価格も上げたが、利益が殆ど出ない(東京都/カフェ/1店舗)
・人件費、燃料費、光熱費、原材料の高騰により、値上げを行う以上に出費が増えて、非常に苦しい一年でした(大阪府/カフェ/2店舗)
コロナ禍を経て客足の変化を感じた
・団体客がほとんどなくなった。早い時間には来るが、遅い時間のお客様が少なくなった(大阪府/アジア料理/2店舗)
・コロナが明けてお客様の飲食事情も変わった。早い時間の単価アップが必要(千葉県/専門料理/1店舗)
・飲食店においての「集い」の習慣がこの3年で無くなり、ランチをしてすぐ帰る、用事を済ませてすぐ帰るといった人が増えてしまった。来客も一人で来ることが増え、客単価も上がらない(愛知県/カフェ/1店舗)
人材の確保に苦戦した
・人材確保が進まず、本当に苦労している(大阪府/アジア料理/1店舗)
・求人費用をしっかりかけたのに全く成果につながらず、スタッフ不足による売上獲得の損失がすごい(東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・社員、アルバイトの確保が難しくなってきた。人手がかからないオペレーションも大切だし、離職率を下がるための労働環境改善も重要になってきている(沖縄県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
最後に、2024年に向けた目標やスローガン、または同業者への応援メッセージなどを答えてもらったところ、さまざまな意気込みやメッセージが寄せられました。
▼目標やスローガン
人手不足解消に向けて取り組む
・飲食業界全体が陥っている「人手不足解消」に向けた施策を積極的に進め、本格的なコロナ禍脱皮元年としたい(東京都/その他/2店舗)
・スタッフの離職のため、一部店舗の休業を余儀なくされるので早めに新たなスタッフを確保したい(埼玉県/ラーメン/3~5店舗)
・来年(2024年)からは省人化していく取り組みを始めます。と言っても人を減らすわけではなく、労働時間の短縮や生産性向上を図り、2025年以降に同じ労働力でももっとタスクがこなせる仕組みを作れるようにしようと思っています(静岡県/専門料理/3~5店舗)
集客に力を入れる
・団体客は見込めないため、単体客をいかに取り込めるかに力を注ぎたい(福岡県/洋食/1店舗)
・客単価が上がってきているのは原価反映の結果なので、客数回復に努めたい(京都府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・SNSでこまめに新規のお客様、以前来ていただいていた常連客様にアプローチして、また来店してもらえるように努力する事(大阪府/イタリア料理/2店舗)
その他
・お客様の意識も変えていかなければならないと思います、安売りしていくのではなく、価値や体験などしっかりとお客様に楽しんでその対価としてそれ相応のお金を支払ってもらえるような飲食店が増えなければならないと思います(広島県/鉄板焼き・お好み焼/1店舗)
・より働きやすくやりがいのある職場環境を構築していきたい(東京都/和食/3~5店舗)
・2024年以降も何が起こるかはわからないが、地道に「お客様に喜ばれる店造り」をしていきたい(東京都/和食/1店舗)
▼応援メッセージ
・目の前のお客様に喜んでいただける事を一番にやれば、それは絶対お客様にも伝わると実感しております。努力は必ず報われます(東京都/フランス料理/1店舗)
・日々の地道な努力が結局売上に繋がる。絶対に諦めない!(長野県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・経営や店舗運営を取り巻く環境は厳しさを増しますが、業界全体で盛り上げて、それぞれの会社が「あれ」を達成し、豊かな食文化を作っていきましょう!(東京都/その他/11~30店舗)
・時代とか流行だけに流されず今までの実績を信じ真っ当な商売をしていれば必ずいい方向に向かうと信じています。お互いに頑張っていきましょう!(兵庫県/和食/1店舗)
調査結果の引用時のお願い
本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
・クレジットに、「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/ )へのリンク付与をお願いいたします。
本調査について
■調査概要調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:361
調査期間:2023年12月11日~2023年12月25日
調査方法:インターネット調査
■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち67.3%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は51%(首都圏の飲食店の割合は67.6%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
調査結果について
2023年の総売上、前年より「増えた」飲食店は64.4%2023年は、新型コロナウイルスが5類に移行したことで、街中に活気が戻ってきた一方、インボイス制度の開始や原材料の高騰などにより、飲食店にとっては引き続き苦労が多い1年となりました。そこで今回は、2023年の飲食店経営状況と2024年の目標について調査するため、アンケートを実施しました。
まず、2023年11月の売上について2022年の同時期と比べてもらったところ、52.8%が「前年同月(2022年11月)より増えた」と回答。対して、21.1%が「前年同月と変わらない」、25.9%が「前年同月より減った」と回答しています。
さらに、2023年の年間総売上を2022年と比べてもらったところ、64.4%が「2022年の総売上より増えた」と回答。「30%以上増えた」との回答も29.4%見られ、全体的に回復傾向にあるようです。一方で、16.6%が「2022年の総売上と変わらない」、19.1%が「2022年の総売上より減った」と回答しており、引き続き厳しい状況にある店舗も一定数見られました。
コロナ禍は明けたが、原価率調整や売上減少に苦労
2023年で特に印象的だったトピックスについて尋ねたところ、8割近くの店舗が「原価の高騰(78.9%)」と回答。2023年は、食材費や光熱費などあらゆる物やエネルギーの値上げが相次いだ年ということもあり、多くの店舗が印象に残っているようです。このほか、10月から始まった「インボイス制度の開始(38.8%)」や、脱コロナによる「来店客数の回復(34.3%)」を上げる声も目立ちました。
続いて、2023年のお客の動向について、どのような変化があったか答えてもらいました。すると、最も多かったのは「客単価が上がった」との回答で40.4%。原価高騰による価格転嫁の影響も考えられますが、コロナ明けで消費が活発になったことも要因と思われます。
また、コロナ明けの飲食店経営で最も苦労したことについて尋ねたところ、58.4%が「円安、原材料費の高騰などを背景とした原価率の調整」と回答。記録的な食材の価格高騰などを受け、原価率の調整を余儀なくされた店舗が多いことが読み取れます。次いで「売上の減少(46.5%)」、「新たな人材の確保(34.9%)」、「従業員の雇用維持やシフト要請(31.3%)」との回答が続いており、コロナ禍以前から飲食業界で慢性的に続いていた、人手不足の問題が再び浮き彫りになっている様子がわかります。
さらに、コロナ明けで、新たに始めたサービス、工夫したことなどを教えてもらいました。「特にない(41.3%)」との回答を除くと、最も多かったのは、「SNSによる宣伝、集客(23.8%)」との回答。コロナ禍が明け、本格的なSNS集客に力を入れ始めた店舗もいるようです。次いで、「座席の消毒など衛生管理の徹底(16.3%)」、「テイクアウトサービス(12.5%)」との回答が続きました。
2023年はコスト増や人材確保に苦労も、2024年に向けて前向きな姿勢
次に、2023年を振り返っての感想を尋ねたところ、順調に売上回復している店舗がある一方で、食材費の高騰や客足の変化、人材不足などに悩まされた1年だったとの声も目立ちました。売上が回復、順調に経営できた
・順調にコロナ前の状況に戻っている事に一安心(東京都/カフェ/1店舗)
・オープンしてから6年ですが、1番忙しかったです。近場の職場の人の利用は少なくなりましたが、ふらりと立寄るお客様が増えました。円安で物価高なのにお金を使ってくれます(東京都/カフェ/1店舗)
・昨年度(2022年度)対比がアテにならないぐらい爆発的に増えている。昨年度から約35%も売上があがり、来店客も止まらない(東京都/アジア料理/2店舗)
インバウンド需要の復活を実感した
・コロナが明けて、外国人のお客様が増え、売上も回復した(東京都/和食/3~5店舗) ・インバウンドの回復が予想以上でした(東京都/イタリア料理/51~100店舗)
・インバウンドの復活がありがたかった一年(東京都/バー/1店舗)
集客や売上の確保に苦労した
・コロナが明け、客数が戻るかと予測したが、思うよう戻らなく非常に厳しい運営となっている(千葉県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・顧客来店数回復にまだまだ時間がかかりそうで苦労した1年でした(東京都/バー/1店舗)
・コロナ助成金も終わり、売上確保が大変厳しい一年でした(東京都/フランス料理/1店舗)
食材費や人件費などコストの増加に悩まされた
・食材費の高騰により、使いたい食材が思うように発注出来ない。価格が上昇し過ぎてお客様に販売出来ない商品になってしまうため、使用しなくなった食材があります(東京都/フランス料理/1店舗)
・客数は回復したが、食材費などの原料費がとにかく上がっているので価格も上げたが、利益が殆ど出ない(東京都/カフェ/1店舗)
・人件費、燃料費、光熱費、原材料の高騰により、値上げを行う以上に出費が増えて、非常に苦しい一年でした(大阪府/カフェ/2店舗)
コロナ禍を経て客足の変化を感じた
・団体客がほとんどなくなった。早い時間には来るが、遅い時間のお客様が少なくなった(大阪府/アジア料理/2店舗)
・コロナが明けてお客様の飲食事情も変わった。早い時間の単価アップが必要(千葉県/専門料理/1店舗)
・飲食店においての「集い」の習慣がこの3年で無くなり、ランチをしてすぐ帰る、用事を済ませてすぐ帰るといった人が増えてしまった。来客も一人で来ることが増え、客単価も上がらない(愛知県/カフェ/1店舗)
人材の確保に苦戦した
・人材確保が進まず、本当に苦労している(大阪府/アジア料理/1店舗)
・求人費用をしっかりかけたのに全く成果につながらず、スタッフ不足による売上獲得の損失がすごい(東京都/居酒屋・ダイニングバー/3~5店舗)
・社員、アルバイトの確保が難しくなってきた。人手がかからないオペレーションも大切だし、離職率を下がるための労働環境改善も重要になってきている(沖縄県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
最後に、2024年に向けた目標やスローガン、または同業者への応援メッセージなどを答えてもらったところ、さまざまな意気込みやメッセージが寄せられました。
▼目標やスローガン
人手不足解消に向けて取り組む
・飲食業界全体が陥っている「人手不足解消」に向けた施策を積極的に進め、本格的なコロナ禍脱皮元年としたい(東京都/その他/2店舗)
・スタッフの離職のため、一部店舗の休業を余儀なくされるので早めに新たなスタッフを確保したい(埼玉県/ラーメン/3~5店舗)
・来年(2024年)からは省人化していく取り組みを始めます。と言っても人を減らすわけではなく、労働時間の短縮や生産性向上を図り、2025年以降に同じ労働力でももっとタスクがこなせる仕組みを作れるようにしようと思っています(静岡県/専門料理/3~5店舗)
集客に力を入れる
・団体客は見込めないため、単体客をいかに取り込めるかに力を注ぎたい(福岡県/洋食/1店舗)
・客単価が上がってきているのは原価反映の結果なので、客数回復に努めたい(京都府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・SNSでこまめに新規のお客様、以前来ていただいていた常連客様にアプローチして、また来店してもらえるように努力する事(大阪府/イタリア料理/2店舗)
その他
・お客様の意識も変えていかなければならないと思います、安売りしていくのではなく、価値や体験などしっかりとお客様に楽しんでその対価としてそれ相応のお金を支払ってもらえるような飲食店が増えなければならないと思います(広島県/鉄板焼き・お好み焼/1店舗)
・より働きやすくやりがいのある職場環境を構築していきたい(東京都/和食/3~5店舗)
・2024年以降も何が起こるかはわからないが、地道に「お客様に喜ばれる店造り」をしていきたい(東京都/和食/1店舗)
▼応援メッセージ
・目の前のお客様に喜んでいただける事を一番にやれば、それは絶対お客様にも伝わると実感しております。努力は必ず報われます(東京都/フランス料理/1店舗)
・日々の地道な努力が結局売上に繋がる。絶対に諦めない!(長野県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・経営や店舗運営を取り巻く環境は厳しさを増しますが、業界全体で盛り上げて、それぞれの会社が「あれ」を達成し、豊かな食文化を作っていきましょう!(東京都/その他/11~30店舗)
・時代とか流行だけに流されず今までの実績を信じ真っ当な商売をしていれば必ずいい方向に向かうと信じています。お互いに頑張っていきましょう!(兵庫県/和食/1店舗)
調査結果の引用時のお願い
本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
・クレジットに、「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/ )へのリンク付与をお願いいたします。