飲食店の3割が「IT化による課題解決に期待」も予算不足などが障壁に。飲食店DXの現状を調査
飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)を運営する株式会社シンクロ・フード(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤代真一、東証プライム市場:3963)は、飲食店ドットコム会員を対象に、飲食店におけるIT化、DXの実情についてアンケート調査を実施いたしました。
- 本調査について
■調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:379名
調査期間:2022年11月22日~2022年11月29日
調査方法:インターネット調査
■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち72.8%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は47.5%(首都圏の飲食店の割合は65.2%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
- 調査結果について
飲食店の約8割がデジタルツール導入。集客や客単価アップなど好影響
長引く新型コロナウイルスの影響に加え、慢性的な人手不足や食材費の高騰など、厳しい状況が続く飲食業界。こうした状況を打破しようとIT化やDXへの関心が高まっています。そこで今回は、飲食店におけるデジタルツールの活用状況を調査するため、アンケートを実施しました。
まず、自店舗で活用しているデジタルツールについて尋ねたところ、76.3%の店舗で「何らかのデジタルツールを活用している」(デジタルツールを活用していない=23.7%)ことが明らかとなりました。複数のデジタルツールを導入している店舗も多く、飲食店のIT化が浸透しつつあると言えます。デジタルツールの種類を見ると、最も多かったのは「会計・売上管理に関するシステム(※1)」との回答で、54.4%。次いで、「予約・集客・販促に関するシステム(※2)(43.0%)」、「テイクアウト・デリバリーに関するシステム(27.2%)」と続きます。
※1:POSレジ、セルフレジ、キャッシュレス決済など
※2:公式ホームページ・アプリ、グルメサイト、SNS、予約・顧客台帳システムなど
続いて、自店舗で活用したデジタルツールの中から、特に好影響(業務効率化や売上、集客率向上など)を実感できたものを答えてもらいました。最多は、「会計・売上管理に関するシステム(37.7%)」との回答。これに「予約・集客・販促に関するシステム(26.6%)」、「テイクアウト・デリバリーに関するシステム(13.5%)」が続く結果となりました。また、「ホール業務に関するシステム(※3)」を活用しているのは44人と限られるものの、約半数にあたる23人が特に好影響を実感したと回答。活用した上での満足度が比較的高いシステムであると言えます。
※3:セルフオーダーシステム、順番待ちシステム、配膳ロボットなど
さらに、回答したデジタルツールについて、具体的にどのようなシステムやサービスを利用し、どのような好影響があったのか回答してもらったところ、さまざまな声が寄せられました。
会計・売上管理に関するシステム
・POSレジの導入により、一日に売れた数量が簡単にわかるようになった。月ごとの集計や前年比などが容易になり、製造量に反映した結果、廃棄ロスが削減できた(東京都/カフェ/2店舗)
・「エアレジ」を長らく使用しています。売上管理だけでなくABC評価や顧客管理にも役立てております。クラウドでどこからでも確認、管理が可能なので、便利に利用しています。無料なのもありがたいです(奈良県/フランス料理/1店舗)
・キャッシュレス決済を導入したことにより、客単価があがった(東京都/その他/1店舗)
予約・集客・販促に関するシステム
・ぐるなびで集客。ネット予約機能があるので電話の回数が減った(大阪府/鉄板焼き・お好み焼/1店舗)
・グルメサイトからのネット予約により新たな客層が増えた(愛知県/イタリア料理/1店舗)
・インスタグラム経由でホームページに誘導したり、商品紹介をしたりしているので、それを見て来店するお客様が増えた(愛知県/カフェ/1店舗)
テイクアウト・デリバリーに関するシステム
・テイクアウトやデリバリーでの新規顧客の獲得(東京都/その他/6~10店舗)
・Uber Eatsと出前館を利用。かなり色々工夫をして展開しているためかとても好評頂き、店内売上は1割ダウンでも宅配で2割くらいは利益があるので、結果1割増となっている(東京都/ラーメン/1店舗)
・デリバリーサービスでバーチャルレストランを始めてから諸経費は現状のまま、売上アップできた(大阪府/そば・うどん/1店舗)
また、デジタルツール導入における補助金または助成金制度の活用実態を尋ねたところ、76.1%もの店舗が「補助金・助成金は利用していない」と回答。デジタルツールを導入する際に、政府や自治体が実施する補助金・助成金制度を活用した人は、約2割にとどまりました。具体的な利用状況を見ると、「IT導入補助金(11.8%)」と「小規模事業者持続化補助金(11.4%)」の利用が目立つ結果となりました。
飲食店のデジタルツール導入、予算や人手不足が障壁に
現在、飲食店が課題に感じている事柄を選んでもらったところ、約半数が「売上の低さ(50.9%)」と回答し、最多となりました。これに、「新規客の獲得、店舗の認知拡大(44.1%)」、「売上に占める食材費の割合(38.3%)」、「従業員が足りないことによるリソース不足(29.6%)」が続きます。全体を見ると、「課題に感じていることはない」との回答はわずか3.7%で、96.3%もの店舗が何らかの課題を抱えていることがわかります。さらに、約6割の店舗は、複数の課題を抱えていることも明らかとなりました。
続いて、前問で選択した課題が、新たなデジタルツールを導入することで、おおむね解決できると思うか尋ねたところ、店舗ごとに意見が分かれる結果となりました。最も多かったのは「解決はできない(41.4%)」との回答で、約4割の店舗が新たにデジタルツールを導入しても課題解決には至らないと考えています。対して、「少なからず解決できると思う」(解決できると思う=3.8%、部分的に解決できると思う=26.8%)との回答も30.6%見られ、デジタルツールの導入が、飲食店の課題解決に役立つと考えている店舗も少なくありません。
また、「解決できると思う」、「部分的に解決できると思う」と回答した方に、課題解決のために、そのデジタルツールを新たに導入する予定があるか尋ねたところ、「いずれ導入する予定(53.6%)」と回答した店舗が半数を超えました。一方で、「導入する予定はない(23.2%)」と導入に消極的な店舗も一定数います。
そこで、「導入する予定はない」と答えた方に、新たにデジタルツールを導入しない理由を尋ねたところ、予算の問題や人手不足、導入後の管理に対する懸念など、さまざまな要因が障壁となっていることが明らかとなりました。以下に、今回寄せられた飲食店の回答を抜粋して紹介します。
デジタルツールにお金をかける余裕がない
・予算的に難しい(千葉県/専門料理/1店舗)
・予算が取れない(愛知県/和食/1店舗)
人手不足のため導入が難しい
・デジタルツールを扱える人員不足です(東京都/和食/1店舗)
・集客をデジタルツールで行い客が増えた場合、現状のスタッフ数ではこなせないため(東京都/フランス料理/1店舗)
管理をするのが大変なイメージがある
・覚えたり、管理をしたりするのが大変(静岡県/専門料理/1店舗)
・管理を煩雑にしたくないため(東京都/和食/1店舗)
小規模経営のため、導入の必要性を感じない
・店の規模が小さく、導入する労力に対してのメリットが少ないように思う(福井県/洋食/1店舗)
・そこまでの規模ではない(東京都/バー/1店舗)
■調査結果の引用時のお願い
本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
・クレジットに、「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)へのリンク付与をお願いいたします。
<問い合わせ先>
■飲食店リサーチについて
・URL:https://www.inshokuten.com/research/company/
「飲食店リサーチ」は、飲食店に特化したリサーチサービスです。飲食店出店者・運営者に対してアンケートを実施し、マーケティングデータを取得することが可能です。飲食店向けの新しい商品・サービスの企画や食品・飲料の研究・開発等の際に、ニーズの把握・データの裏付けといった様々な形で、マーケティングデータを活用いただけます。
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・URL:https://www.inshokuten.com/promotion/
<シンクロ・フードの直近の飲食店支援の取り組み>
シンクロ・フードでは新型コロナウイルスによる外食業界への影響を鑑み、飲食店の皆さまの店舗運営の一助となるべく新サービスの提供、キャンペーンの実施などを行っております。
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