飲食店の34.2%がインボイス制度への準備を開始。インフレ下での節税対策の実情を調査

飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)を運営する株式会社シンクロ・フード(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤代真一、東証プライム市場:3963)は、飲食店ドットコム会員を対象に、飲食店における節税対策の実情についてアンケート調査を実施いたしました。
  • 本調査について
調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:416名
調査期間:2022年10月28日~2022年10月31日
調査方法:インターネット調査

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち75.0%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は50.0%(首都圏の飲食店の割合は66.6%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
 
  • 調査結果について
2022年9月の売上、74.8%の店舗が2019年同月比より減少

飲食店経営では、さまざまな税金の支払いが発生しますが、節税対策に取り組むことでそ金額を抑えられる場合があります。控除証明書が到着し始めたり、インボイス制度の開始が間近に迫ったりする中で、改めて税金について意識する方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、飲食店における節税対策の実情を調査するため、アンケートを実施しました。

はじめに、各店の売上動向を尋ねました。まず、2022年9月の売上と新型コロナの影響がなかった2019年9月の売上を比較してもらったところ、74.8%が「90%以下」と回答。売上が半分以下に落ち込んでいる店舗(「50%以下」)も全体の2割に及ぶなど、多くの飲食店が苦しい経営状況にあります。

一方、売上が伸びた(「110%以上」)店舗は14.1%。単純な比較はできないものの、同様の調査を行った先月のデータ(https://www.inshokuten.com/research/result/369)と比べると、2019年同月比より売上が伸びた店舗の割合が約6%増えており(2022年8月売上の2019年同月比において「110%以上」は8.4%)、わずかながら回復の兆しが見えてきた印象です。


次に、2022年9月の売上と利益を2019年9月と比較してもらったところ、「増収・増益」との回答は、わずか8.2%にとどまりました。対して、「減収・減益」は52.9%。長引くコロナの影響に加え、食材価格の高騰などもあり、コロナ禍前の売上・利益に届かない店舗が大多数を占めています。

 


原材料高騰・協力金支給がきっかけで「節税対策」に興味を持つ飲食店も

続いて、現在、何らかの節税対策をしているか尋ねたところ、「現状対策していない」(対策したいと思っているが、できていない=34.9%、特に対策はしていない=25.0%)と回答した店舗は約6割。一方で「対策をしている」店舗は40.1%にとどまりますが、「対策したいと思っているが、できていない」店舗が34.9%いることを踏まえると、75%もの店舗が節税に前向きな様子が読み取れます。

さらに、節税について「対策をしている」と回答した方に、いつから節税対策を始めたのか尋ねたところ、「2018年以前」が61.1%で最多となりました。対して、全体の27.6%は「2020年以降」と回答しており、コロナ禍以降に節税対策を始めた飲食店も一定数見られました。

また、節税について「対策をしている」、「対策したいと思っているが、できていない」と回答した方に、節税対策を始めた、したいと思ったきっかけを尋ねました。最多は「原材料等の価格が高騰したから」の40.1%。これに「協力金、コロナ関連の給付金・補助金・助成金を支給されたから(32.4%)」、「売上が下がったから(28.5%)」が続きます。

節税状況別に見ると、「対策をしている」と回答した人が最も多く選んだのは、「協力金、コロナ関連の給付金・補助金・助成金を支給されたから(35.9%)」。協力金などは課税対象となっており、支給をきっかけに節税を始めた店舗も多いようです。

一方で、「対策したいと思っているが、できていない」と回答した人が最も多く選んだのは、「原材料等の価格が高騰したから(63.4%)」との回答。次いで「売上が下がったから(43.4%)」が続いており、近頃の経営状況悪化が節税対策を意識するきっかけにはなっているものの、さまざまな事情により実施には至っていない現状が垣間見えます。

来年10月開始のインボイス対策、34.2%が準備開始済み

節税について「対策をしている」と回答した方に、具体的な節税対策を尋ねたところ、76.0%が「必要経費の計上」と回答し、最多となりました。これに、「青色申告(53.9%)」、小規模企業共済、経営セーフティ共済などの「共済への加入(49.7%)」が続きます。また、約8割の店舗が複数の節税対策を組み合わせて実施していることも明らかとなりました。

続いて、節税について「対策をしている」、「対策したいと思っているが、できていない」と回答した方に、今後、実施したいと思っている節税対策を尋ねたところ、「必要経費の計上(30.1%)」との回答が、最も多くなりました。

 

回答者の状況別では、「対策したいと思っているが、できていない」と回答した人のうち47.6%が「必要経費の計上」と回答。これから節税を始めたい人にとって、注目度の高い対策であることがわかります。一方で「対策をしている」と回答した人が最も多く選んだのは、「特になし(31.7%)」との回答。すでに節税対策を行っている飲食店は、現在実施している対策だけで十分だと考える店舗が多いようです。
次に現在、税理士に相談しているか尋ねたところ、半数以上が「相談している(53.6%)」ことが明らかとなりました。また、「相談を検討中(10.8%)」と前向きな店舗がいる一方、12.3%は、費用などを理由に「相談したいが、できていない」状況にあります。「相談する予定がない」との回答は、23.3%でした。

また、2023年10月1日からはインボイス制度が始まります。そこでインボイス制度に向けた準備状況を尋ねたところ、店舗ごとに状況が分かれる結果となりました。最も多かったのは「インボイス制度の概要は知っているが、準備はまだ始めていない」との回答で30.8%。次いで、「準備をしている最中(20.0%)」との回答が続きます。「すでに準備を終えている」との回答も14.2%見られ、合わせると34.2%が準備を進めていることになります。一方で、「インボイス制度についてよくわかっていない(19.7%)」との回答も一定数あり、制度開始まで1年を切る中、一部で理解が進んでいない状況も見えてきました。


飲食店の節税対策、「何から始めたらいいかわからない」との声も多数

節税対策に関する悩みを尋ねたところ、以下のような声が寄せられました。

何から始めたらいいかわからない
・何から手を付けていいかよくわからない(東京都/1店舗/居酒屋・ダイニングバー)
・色々なブログや情報が散見されるが、自分に合っているものが何かよくわからない(東京都/1店舗/和食)

青色申告や経費計上などの具体的な方法と効果が不明
・青色申告の特別控除を受けたいが、複式簿記のやり方がわからない。節税対策をしてどのくらいの効果があるのかわからないので、シミュレーションをしてみたい(東京都/1店舗/イタリア料理)
・どこまで経費で落とせるか(島根県/1店舗/バー)

協力金、助成金などの支給に伴う税額増加
・昨年・一昨年と協力金を多く貰ったため、各種税金が跳ね上がって大変(東京都/1店舗/居酒屋・ダイニングバー)
・助成金が粗利として計上されたため、納税額が予想以上に上がってしまい苦心している(大阪府/2店舗/居酒屋・ダイニングバー)

資金の余裕がなく、税理士に相談できない
・節税対策に費用をかける余裕がないのが現状です。本当は税理士さんにお願いしたいのですが、安く抑えられる方法を思案中です(神奈川県/1店舗/カフェ)
・税理士に相談する費用がない(大阪府/1店舗/バー)

インボイス制度に関して不明点がある
・インボイス制度がわからない(神奈川県/2店舗/専門料理)
・現在消費税を納めていないが、インボイスが始まったあと消費税がどの程度利益を圧迫するのか実感としてはよくわからない(東京都/1店舗/バー)

その他
・利益が出ていないので、そもそも節税が必要ない(大阪府/3~5店舗/居酒屋・ダイニングバー)
・個人の税金も上がっているのに事業税が高すぎる(東京都/1店舗/居酒屋・ダイニングバー)
・なかなか節税効果が出ない。どこまでやっていいのかわからない(東京都/3~5店舗/イタリア料理)
・レシートや領収書が多くなるので簡単にまとめたい(群馬県/1店舗/バー)
・税理士があまり相談に乗ってくれない(千葉県/1店舗/ラーメン)

最後に、経営に関する課題や悩みについて幅広く尋ねたところ、以下のようにさまざまな回答が寄せられました。

深刻化する飲食店の人手不足
・年末に向けて、人手不足を感じる(東京都/2店舗/居酒屋・ダイニングバー)
・求人をかけても、なかなか反応がない(静岡県/1店舗/和食)
・社員の高齢化、若年層が入らない(神奈川県/31~50店舗/その他)

コロナ禍におけるライフスタイルの変化

・ライフスタイルの変化に伴うコロナ収束後の集客(東京都/1店舗/居酒屋・ダイニングバー)
・テレワーク増加に伴う公共交通機関の終電の早まりが、ボディブローのように効いている(東京都/1店舗/居酒屋・ダイニングバー)
・ノーマスクの日常や近隣企業の部署ごとの大きな宴会予約など、コロナ禍前の水準まで戻ってほしい(大阪府/3~5店舗/居酒屋・ダイニングバー)

食材費高騰に伴う、経営状況の悪化
・物価高騰で厳しい経営を強いられている。食材費をやり繰りするために、あちこちの店で見て回って買っている(神奈川県/1店舗/その他)
・仕入れ費用の高騰と売上減少の流れが出てきている(千葉県/1店舗/カフェ)
・売上減少と原材料費高騰などにより、運転資金に使うキャッシュがなくなってきていて、金策をどうするか悩んでいます(神奈川県/1店舗/カフェ)

その他
・利益が出にくい状況でどのようにして経営を成り立たせるかを思案中。今まで利益が出ていた「宴会」などの代わりになるような施策を早急に打たないといけない(愛知県/1店舗/和食)
・長期雇用、高齢化に伴い給与を上げたいと考えているが、原資がないので上げられない(埼玉県/3~5店舗/その他)
・助成金、補助金、給付金など運営の助けになる制度を活用したいが相談先がわからない(東京都/1店舗/中華)


調査結果の引用時のお願い
本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
・クレジットに、「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)へのリンク付与をお願いいたします。

<問い合わせ先>
飲食店リサーチについて
・URL:https://www.inshokuten.com/research/company/
「飲食店リサーチ」は、飲食店に特化したリサーチサービスです。飲食店出店者・運営者に対してアンケートを実施し、マーケティングデータを取得することが可能です。飲食店向けの新しい商品・サービスの企画や食品・飲料の研究・開発等の際に、ニーズの把握・データの裏付けといった様々な形で、マーケティングデータを活用いただけます。

飲食業界に向けたマーケティングなら
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<シンクロ・フードの直近の飲食店支援の取り組み>
シンクロ・フードでは新型コロナウイルスによる外食業界への影響を鑑み、飲食店の皆さまの店舗運営の一助となるべく新サービスの提供、キャンペーンの実施などを行っております。

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株式会社シンクロ・フードについて
当社は、”多様な飲食体験から生まれるしあわせを、日本中に、そして世界へと広げる”というビジョンのもと、飲食店経営・運営を支援するプラットフォーム「飲食店ドットコム」を運営しています。テクノロジーを最大限に活用し、飲食店の出店開業・運営に必要な「ヒト・モノ・情報・サービス」など多様な選択肢をシンプル・スピーディに提供していくことで、飲食業界の発展・関わる人のしあわせに貢献してまいります。

【本社】 東京都渋谷区恵比寿南一丁目7番8号 恵比寿サウスワン
【代表者】 代表取締役 藤代 真一
【上場市場】 東京証券取引所プライム市場
【URL】 http://www.synchro-food.co.jp/
【運営サイト】
<<飲食店開業・運営支援のサービス>>
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・飲食店の出店・運営支援サイト「飲食店.ドットコム」(https://www.inshokuten.com/
・居抜き店舗の買取査定サイト「居抜き情報.COM」(https://www.inuki-info.com/
・飲食店専門のM&Aサービス「飲食M&A」(https://www.inshokuten.com/ma/
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・業務用の厨房備品やキッチン用品ショッピングサイト「厨房・備品を探そう」
https://www.inshokuten.com/kitchen/
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・店舗デザインのポータルサイト「店舗デザイン.COM」(https://www.tenpodesign.com/
・キッチンカーシェア・マッチングサイト「モビマル」(https://mobimaru.com/
・インテリア業界や建築業界特化型の求人情報サイト「求人@インテリアデザイン」(https://job.tenpodesign.com/

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